あらすじ
速さだけが、答えだと思っていた。
雨の日だけ、誰よりも速くなるレーサー――カイ・カンザキ。
十八台中十八番手。
スポンサーもない。
チームからの評価も低い。
それでもカイは、ただ速くなることだけを求めていた。
ある雨のレース。
カイは、圧倒的な速さを持つ少女レーサー、レクシー・ヴァルモンを追い詰める。
その瞬間、コースに一本の「赤い線」が現れた。
音が消えた世界。
誰も知らないはずの声。
そして、レクシーだけが知っていた言葉。
「次に見たら、絶対に越えないで」
――戻れなくなるから。
そのレースで刻まれた差は、わずか0.037秒。
だが、それはただの敗北ではなかった。
繰り返される違和感。
曖昧になっていく記憶。
存在するはずのない「十三番目の席」。
やがてカイは、自分が知らないはずの何かを知っていることに気づいていく。
速くなるために。
勝つために。
そして――まだ思い出せない何かのために。
これは、一人のレーサーが最後のゴールへ辿り着くまでの物語。
最後に残るのは、勝利か。
それとも――
REQUIEM。