あらすじ
「好きな人がいるから、婚約を解消してほしい」
夜会で婚約者からそう告げられたエリノアは、あっさり頷いた。
あまりにも淡々とした反応に、婚約者は戸惑う。
俺のことが好きじゃないのか?
──好きかどうかで結婚を選べるなら、私はあなたを選びません。
「いいね、その台詞」
思わぬ人物が食いついた。女性関係が派手だと噂される公爵令息、ジェラルド・マクベインだ。
「俺と結婚しないか?」
恋愛に興味のないエリノアと、結婚に愛情を求めないジェラルド。合理的な二人の利害は一致し、二人は婚約することになる。
自分に向けられる嫉妬や束縛を嫌うジェラルドにとって、エリノアの淡白な反応は心地よかった。
エリノアもまた、優しく気遣いのできるジェラルドを見て、なるほど、だから女性にモテるのね、と納得していた。
そして二人は結婚する。ところが結婚生活を送るうちに、ジェラルドの気持ちは少しずつ変わっていく。
側にいたい。触れたい。傷つけたくない。
けれど、いくら態度を変えても、エリノアにはなかなか伝わらない。
(通じない……。妻に、俺の愛が通じない……)
恋愛に興味のない妻に恋してしまった夫は、芽生えた嫉妬心を押さえられずにいた。