あらすじ
それは普段と同じ日常だった。
いつも通りに朝早く家を出て、近くの狩場へと向かう。
少し違うところがあるとすれば、昨日拾ったナイフを持っているくらいか。どうも対魔のコーティングがされているようで、ちょっぴり頑丈な良いナイフだ。
早くこのナイフで試し切りがしたい、そんな事を考えていると、ふ、と気づいた。
この場所を、いや、この時間を知っている気がする。草むらを掻き分け、大樹を左に曲がり、獣道を沿って歩いていく。
そう、そうすると出会うはずだ。思い出した。
如何にも旅人ですと言わんばかりの襤褸を身に纏い、フードで顔を隠した人間。そいつとは、もう何度も、いや何百と出会っているはず。
知っているのは何故か。
当たり前だ。
何百と殺され、気づけばこの場所に居る。繰り返しているうちに、身体のどこかが覚えているのだ。
人間が向かってくる。腰を低く落とし、駆け、低い体勢のまま右足を放つ。
蹴られた。そう思った瞬間に意識は飛び、
また、森の中にいた。
いつもと変わらない日常。昨日拾ったばかりなのに、妙に慣れた気のするナイフ。
何百と一回目の、日常が始まった。