あらすじ
「アイリーン、お前との婚約を破棄する」
夜会の席で、第二王子ロデリックから突きつけられた婚約破棄。理由は、彼にかけられた『時限付きの呪いの指輪』を解けなかった無能な薬師だから――。
だがそれは、外せば死に、一年後には命を奪う呪具を「婚約の絆」と偽って押し付けた、義妹セラフィナと王子の茶番だった。
前世は日本の製薬会社・品質管理部。不良品を掴まされたときの鉄則は、まず現物を確認すること。
「その指輪、少々拝見してもよろしいですか」
鑑定スキルで呪具の“取扱説明書”を読み解いたアイリーンは、契約条項の抜け穴を突き、この茶番をひっくり返す。そして凪いだ瞳で、静かに告げるのだ。
「婚約破棄――謹んでお受けします。ついでに、この不良品も。お返しいたしますね」
呪いは解くものではない。掛けた本人へ、正しい宛先へ、正しい手順で「返品」するもの。
余命一年の呪いを背負った令嬢が、品質管理の知識と冷静な分析で不良品案件を次々と差し戻す、痛快な返品劇――ここに開店。
『宮廷薬師令嬢、返品承ります』