あらすじ
「そこは西日が眩しいから、こっちにおいで」
いじめから逃げ込んだ旧校舎の三階で、僕は榊先輩と出会った。
濡れた制服を見ても、先輩は理由を問い詰めなかった。ただ椅子を引いて、隣に座らせてくれた。
先輩は、少し変わった人だ。
学校の噂より、窓辺に来る鳥に詳しい。小説を書いているけれど、登場人物が喫茶店から帰ってくれなくて困っている。
そんな先輩の話を聞くうちに、放課後だけは、息ができるようになった。
けれど、明日になれば、また同じ教室へ行かなければならない。
僕がようやくその怖さを口にしたとき、先輩は本を閉じて、話を聞いてくれた。
教室に居場所をなくした僕と、少し浮世離れした文芸部の先輩。
ひとつの椅子から始まる、一話完結の青春短編。