あらすじ
「遥か遠くのどこかから、ほんの少しだけ、薔薇の香りが漂ってきた。
あえて言うなら、一輪分くらい」
七歳のとき、ソファは嗅覚を失った。
それ以来、彼が感じることのできる匂いは、たったひとつ。
死。
この世界で自分だけが知るその匂いを、ソファは「白い匂い」と呼んでいる。
その事実に絶望した日から、二十年。
ソファは、彼女と出会う。
タンミ。
彼女は――
ソファが嗅ぎ取れる唯一の匂いを漂わせていた。
けれど、その匂いは「死」でも、「白」でもなかった。
薔薇だった。
&目次
一輪の薔薇
ライラック
チューリップ
カーネーション
かすみ草
エーデルワイス
一輪の薔薇