あらすじ
すべての戦いが終わったあと。
世界は完全に「元通り」にはならなかった。
消えた国々。
失われた人々。
壊れた歴史。
それらすべてを取り戻すことはできない。
アルクは最後まで、《完全修正》を選ばなかった。
世界を正しく戻すために、今生きている誰かを消すことを拒んだからだ。
代わりにアルクは、世界そのものが少しずつ変化し続けられるよう、新しい仕組みを残す。
管理者が一人ですべてを決める世界ではなく、人々自身が選び、間違え、修正していける世界へ。
そしてアルクは《管理者》という役目を降りる。
英雄として王になることもない。
消えた王国を復活させ、その王位に就くこともない。
ただ、一人の冒険者として再び旅に出る。
旅立つ前。
アルクは、かつて自分が拾われた街道を訪れる。
幼い自分が倒れていた場所。
そこには今も、途中で途切れた古い道が残っている。
だが以前とは違う。
道の先に、小さな草花が咲いている。
アルクはしばらくそれを眺めてから、歩き出す。
背中には使い古した荷物。
腰には一本の剣。
そして隣には、長い旅の中で出会った仲間たち。
誰かが聞く。
「次はどこへ行く?」
アルクは少し考える。
そして笑う。
「まだ見たことのない場所」
幼い頃。
師匠の冒険譚を聞きながら憧れた世界。
勇者になるためでもない。
王になるためでもない。
世界を救うためでもない。
ただ、自分の目で世界を見るために。
アルクは再び歩き始める。
その背後で。
長い間どこにも続いていなかった古い街道に。
新しい道が、少しずつ伸び始めていた。