あらすじ
NHK『豊臣兄弟!』ガイドブックにおける
中川清秀の記述訂正を求める要請書
日本放送協会 御中
NHK出版 御中
大河ドラマ『豊臣兄弟!』制作関係者 御中
大河ドラマ『豊臣兄弟!』における中川清秀の描写について、茨木市および竹田市から申し入れが行われ、NHKからも「ご指摘を真摯に受け止める」との見解が示されています。
また、NHK会長からは、中川清秀に親しみを持つ方々に不快の念を抱かせたことを真摯に受け止め、「登場人物にゆかりのある皆様が抱く崇敬や敬愛の念を大切にする重みを改めて認識した」との趣旨の発言があり、その認識を制作現場とも共有したと報じられています。
そのうえで、改めて問題として指摘したいのが、NHK発行の『豊臣兄弟!』ガイドブックにおける中川清秀に関する記述です。
テレビドラマについて「歴史的事実を題材にしたフィクション」であるとの説明をされることと、NHK自身が発行し、放送終了後も書籍として長期間残るガイドブックに、史実と異なる中川清秀像が明確な説明なく記載されることとは、分けて考える必要があります。
中川清秀は、天正11年(1583年)の賤ヶ岳合戦において羽柴秀吉方として大岩山砦を守備し、佐久間盛政勢の攻撃を受けて討死した人物です。
ところがドラマでは、中川清秀が秀吉方を裏切って柴田方へ転じ、さらに前田利家によって討たれるという筋書きが採用されました。
これは単なる会話や人物関係の脚色ではありません。
「どちらの陣営に属して戦ったのか」
「どのような経緯で最期を迎えたのか」
という、中川清秀という実在人物の歴史的評価に直接関係する重大な改変です。
ましてガイドブックは、放送を一度見て終わる映像とは異なり、図書館や個人の蔵書などに残り、将来にわたって参照される可能性のある出版物です。
ドラマ上の創作と史実との差異が明示されないまま残れば、将来その記述を読んだ人、とりわけ中川清秀について詳しい知識を持たない読者が、それを史実であると誤認するおそれがあります。
NHK自身が今回の申し入れを受けて「真摯に受け止める」とし、さらに登場人物にゆかりのある方々の崇敬や敬愛の念を大切にする重要性を制作現場とも共有したのであれば、その認識を具体的な形で示していただきたいと思います。
そこで、以下を要請いたします。
一、今後発行される『豊臣兄弟!』ガイドブック最終号に、中川清秀の史実上の立場と最期について明確な訂正文または注記を掲載すること。
二、ドラマにおける「中川清秀が秀吉方を裏切って柴田方へ転じ、前田利家に討たれた」という展開が、史実そのものではなくドラマ上の創作であることを明記すること。
三、既刊のガイドブックについても、NHKおよびNHK出版の公式ウェブサイト等に訂正または史実との差異を説明する告知を掲載し、読者が確認できる状態にすること。
四、今後、実在した歴史人物について、その所属、行動、死因など人物評価の根幹に関わる史実を大幅に変更する場合には、ガイドブック等の関連出版物において史実と創作の区別が分かるよう配慮すること。
これは、ドラマに一切のフィクションを認めるなという要請ではありません。
歴史ドラマには創作が必要であることは理解しています。
しかし、創作の自由と、実在した人物について史実とは反対の印象を後世に残すことは同じではありません。
中川清秀については、ゆかりの自治体から正式な申し入れが行われ、NHK自身もその指摘を真摯に受け止めるとの見解を示した以上、問題を認識したまま出版物に何の説明も残さないことは適切ではないと考えます。
放送そのものを後から変更することが困難であっても、これから発行される最終号であれば対応は可能なはずです。
少なくとも、
「史実では、中川清秀は羽柴秀吉方として大岩山砦を守備し、佐久間盛政勢の攻撃を受けて討死した。劇中の展開はドラマ上の創作である」
との趣旨を明記してください。
NHKが表明した「真摯に受け止める」という言葉を、将来に残る出版物の上でも具体的に示されることを要請いたします。