あらすじ
所は京都。面白い人、面白いことを探しに大学に入ったケイは、すぐさま二人の女の子と知り合う。一人は真っ白な肌のアルビノのイト、もう一人はゴスロリに身を包んだ数学少女ミヤコ。この三人の周りに、次々とユニークな人間が集まり出し、「思論会」というサークルを立ち上げる。それは、道行く人たちが誰でも参加できるゲリラ的な自由討論の場。硬軟さまざまなテーマについて、通りすがりの老若男女が、立ち止まり、耳を傾け、討論に加わったりと、ごく普通の人々を巻き込んで、いつもは胸に秘めている思いの丈を議論する。それは「大衆」とか「民衆」とか言われる目に見えない実体のないものを可視化する試み。学者や専門家や有識者ではない「一般意志」とはどういうものなのかを具体化し共有する場。その活動の輪は、次第に他の大学にも広まって行った。それが積み重なり、それぞれの思いを吸収し、次第に独自な思想へと発展して行く。そこに見えてきたのは、人の孤独と孤立。現代社会の閉塞感の中で取り残されるような焦燥感を、どう打開するか。それが今を生きる人間の命題だ。大学を卒業してからも、有志でNPO法人「晰の会」を設立し活動範囲を広げて行く。数年が経ち、その思想を実現するための最良の形として、ついに宗教法人を創設するに到る。朋人《ほうと》(信者)は100人に満たないが、居場所、行き場をなくした人たちを受入れながら、宗教という名を借りた独立コミュニティーとなって行く。それは、自己発見、自我実現、そして幸福探究の場でもあった。信者にとっても、主催者たちにとっても。