あらすじ
出張を終え、一週間ぶりに澪浜市の自宅へ戻った。
ゴミを捨てようとしたとき、ゴミ箱の中にホテルのロゴが入った使い捨て歯ブラシが見えた。
これで三か月連続だった。
先月はホテルのボディタオルの包装。その前の月には、アメニティの袋が捨てられていた。どれも決まって、俺が出張で家を空けている間に出てくる。
そこへ妻の真帆が廊下から現れた。
着ているのは、明らかに俺のものではない男物の白いシャツだった。
「修司、おかえり。疲れた?」
笑顔で近づいてきた真帆が、いつものように腕を伸ばす。
俺は半歩ずれて、その腕を避けた。
「俺がいない間、誰か来た?」
「どうしたの、急に。この一週間、ずっと一人だったよ」
数秒だけ真帆の顔を見たあと、俺は何も言わず寝室へ向かった。
部屋には、ごく薄い煙草の匂いが残っていた。
俺は何年も前に煙草をやめている。
スマホを取り出し、防犯カメラのアプリを開いた。
出張初日の夜。
見知らぬ男が俺の部屋着を着て、リビングのソファに座っていた。
その膝の上には真帆が座っている。
次の瞬間、二人はキスをした。