あらすじ
目が覚めたら、私は猫になっていた。
どうやら死んだらしい。
どうやら異世界に転生したらしい。
そしてどうやら――人間には戻れないらしい。
「……いや、どうしろと?」
魔法も使えない。
剣も振れない。
そもそも猫なので、人間とまともに話すことすらできない。
けれど、ひとつだけ変な力を持っていた。
なぜか、みんなに可愛がられる。
最初は一匹の犬。
次は大きな狼と虎。
その次は魔獣。
気づけばドラゴンまで私の後ろをついてくる。
……待って。
私、ただの猫なんですけど?
しかも困ったことに、この力は動物だけじゃなかった。
優しい村人。
力のない勇者。
険悪な冒険者。
人間を憎む魔族。
争い続ける二つの国。
そして、世界で最も恐れられている魔王まで。
「……お前は、私を怖がらないのか?」
私はただ、彼の膝に乗った。
「にゃあ」
それだけだった。
なのに、そこから少しずつ世界が変わり始める。
戦う力なんていらない。
誰かを倒す必要もない。
撫でてもらって。
一緒に眠って。
ご飯を食べて。
少しだけそばにいる。
そうすれば、きっと誰かの心は変えられる。
これは、うっかり猫に転生してしまった一人の女性が、
可愛さだけを武器に、人間も魔族も魔獣も――
**「全員救えそうです!」**
と、本気で世界平和を目指してしまう物語。