あらすじ
私の名はステラ。このよろずやを営む、ハイブリッドの女店主だ。ハイブリッドってのは、生まれつき体の一部が機械ってやつさ。「機械化度」って言葉があってね、全身が生身なら0、全身が機械なら100ってわけ。私は……まあ、教えない。レディの秘密ってやつだ。
さて、そんな私には、ひとつだけ人に言えない――いや、言いふらして逆に引かれてる趣味がある。
趣味人。それが私の裏の顔さ。
何が趣味人かって、暇さえあればロボットを作ってるから。ただのロボットじゃない。**人が乗るのが前提の、大型二足歩行ロボット**さ。もうこの時点で頭がおかしいと言われる内容だよ、自分でもわかってる。
だって考えてみておくれよ。二足歩行ってだけで、実用性が一気に落ちるんだ。
使い道は、ほぼ家庭用に限定される。なんでかって? 一般家庭の移動経路ってのは、人の行動域に合わせて作られてるんだよ。嘘だと思うんなら、家の中を両手いっぱいに広げて歩いてみな。通路は間違いなく、広げた両手は通らない。扉はどうだ? そういうことさ。人間サイズで動くのに最適化されてるから、家庭用もそれに合わせてある。
じゃあ企業ならどうかって? 企業の施設は、通路も扉も両手を広げて歩ける。だから二足歩行が――とはならないんだな、これが。実際は**ケンタウロスタイプ**、つまり脚がキャタピラやタイヤのやつが主流さ。段差も関節で静かに越えるし、安定性は段違い。二足歩行の出る幕はないのさ。
……そこまで分かってて、なぜ私は二足歩行を作るのか。
趣味だから。
それ以上の理由があるか、って話さ。
ふふん。