あらすじ
クラスメイト二人に半ば強引に誘われ、町で有名な心霊スポットへ肝試しに行くことになった高校二年生の夷守政也。
古い東屋で出会ったのは、長い黒髪で顔を隠し、白いワンピース姿で宙に浮かぶ少女の幽霊だった。
彼女には人間の恐怖を感じ取る力があり、その姿も見る者の恐怖によって異形へと歪む。友人たちが逃げ出す中、政也だけは彼女を普通の少女として見つめ、まったく恐怖を抱いていなかった。
『……あなたから、恐怖を感じない。なんで……?』
少女は政也の目の前まで迫ると、髪の隙間から睨みつけ、精いっぱい低い声で唸る。
『うぅーーーー……っ』
「いや、分からない。そんなことより――」
『そんなことよりっ!?』
強風を起こしても、枝を宙に浮かべても、禍々しい闇を纏っても、政也は一向に怖がらない。
負けず嫌いな少女は、政也を一度は驚かせると決め、帰ろうとする彼についていく。
この場所を離れれば、どうせ自分の姿は見えなくなる。そう思っていたのに、ほかの誰からも見えなくなったあとも、政也だけは当たり前のように彼女を振り返った。
一人にならないと気づいた少女の目から、理由の分からない涙がこぼれる。
こうして始まった、怖がらせたい幽霊少女と絶対に怖がらない男子高校生の、ちょっぴり不思議な取り憑き青春ラブコメ。