あらすじ
何年もろくに話していなかった幼馴染が、私の隣に机ごと引っ越してきた。
「久しぶりだね」
いや、毎日同じ教室にいたじゃん。
なんで今さら、そんな顔で笑うの。
中学三年の秋。
「一人で生きていく」が信条の糸円は、幼馴染の生流に調子を狂わされていた。
授業中には、小さな手紙。
放課後には、「一緒に帰ろうよ」。
昔みたいにからかい合えるのに、近づくと落ち着かない。
背も、声も、手の大きさも。
知っているはずの男の子が、知らない男の子に見えてくる。
誰かがいなくても、幸せになれる。
そう思っていたのに。
――明日も、隣にいてほしいなんて。
幼馴染の距離が、恋の距離に変わっていく。
不器用で甘酸っぱい、二人の三十日間。