あらすじ
後宮で起きた、第二の連続死。
今度死んだのは赤子ではない。妃でもない。――膳の、毒見役だった。
口にしたものすべてを「味」で見抜く少女・蘭芳(らんふぁん) は、人さらいに売られ後宮の最下層に放り込まれた毒見役の下女である。だが彼女には誰にも言えない秘密があった。蘭芳の体は、毒を喰らうほどに強くなる。彼女は人ならざるもの――人を喰らう「鬼」を、その血の内に飼っていた。
百年前、国を救い、そして焼かれたという「鬼薬師」の末裔。呪いの血は、今夜も宮殿の闇で餓えて嗤う。
「毒見が死んだ膳を、私は喰う。――おいしいものを、粗末にするやつは許さない」
失われた毒見役の死の真相。妃の膳に混ぜられた、毒ですらない「何か」。そして宮殿の最奥で百年眠る、かつて人だったものの慟哭。
薬の知識で謎を解き、腹減りの血で鬼を喰らう。 これは、食べることで誰かを救う少女の物語。