あらすじ
十五歳の九条玲奈には、叶えたい夢がある。
ステージに立つこと。
もっと多くの人に名前を知ってもらうこと。
そしていつか、誰もが知る場所まで辿り着くこと。
そのためなら、少しくらい我慢するのは当たり前だと思っていた。
遊ぶ時間が減っても。
好きなものを食べられなくても。
普通の女の子と同じようには生きられなくても。
努力した分だけ結果はついてきた。
十人しかいなかった客席は、やがて何千人、何万人へと変わっていく。
玲奈はグループの中心になり、
その生き方はいつしか、後輩たちの「お手本」にまでなっていた。
けれど、同期で親友の相沢結衣だけは、ときどき玲奈に問いかける。
「それ、本当に必要なの?」
玲奈には、その意味がよく分からなかった。
自分で選んだ。
自分で頑張った。
そして、夢に近づいている。
それなら何も間違っていないはずだった。
――自分と同じ生き方を、誰かが選ぶまでは。
夢を叶えるために、何を手放せるのか。
そして、自分で選んだ道なら、
その選択はいつだって正しいと言えるのか。
十人の客席から始まる、少女たちの十年間の物語。