あらすじ
グランツ王国の王太子、アレクサンダー・ヴァン・グランツの婚約者、セレスティーナ・フォン・レーヴェン公爵令嬢。
高慢で我儘、聖女フェリシアンヌ・サンティエを目の敵にする、立派な悪役令嬢である。
ある日、王太子と喧嘩して反省室へ放り込まれた彼女は、そこでぷっつりと眠りについた。
そして目を覚ますと――中身が変わっていた。
現代日本で二十四年の人生を終えた、筋金入りの社畜に。
暖かい部屋で暮らせる。
ご飯が毎日三回も出てくる。
夜は六時間も寝ていい。
しかもこの身体、何時間働いてもちゃんと動く!
「なんて素晴らしい夢なのでしょう……!」
セレスティーナは感動した。
頼まれた仕事は徹夜してでも終わらせます。
熱があっても動けるので元気です。
焼き菓子をひとついただいたので、精一杯お礼をします。
誰かが困っているなら、もちろん自分にできることは何でもします。
本人は、とても幸せ。
ところが周囲は、だんだん気づき始めた。
「……待って。この人、前より危なくない?」
性格はとっても良くなりました。
扱いやすくもなりました。
よく働きます。
ただし、放っておくと死にかけます。
元悪役令嬢を警戒していた聖女ミアは、なぜか彼女にご飯を食べさせ、寝かしつけ、無茶を止める係になっていく。
王太子も騎士も魔術師も、知れば知るほど何かがおかしい。
けれど当のセレスティーナだけは今日もご機嫌だった。
「本当に、幸せな夢ですね」
――これは、幸せいっぱいの元社畜な悪役令嬢と、彼女の「普通」を知るたび頭を抱えるあわれな人々のお話