あらすじ
十五年前、中学二年生だった三上蓮は、同級生たちから壮絶ないじめを受けていた。
殴られても、教科書を捨てられても、教師は見て見ぬふり。
そしてある日、その悪意は蓮だけではなく、まだ幼かった妹・美咲にまで向けられる。
その日を境に、美咲は笑わなくなった。
警察も、学校も、大人たちも。
誰も本当の意味では二人を救ってくれなかった。
――そして十五年後。
一枚の同窓会の案内状が、蓮のもとへ届く。
かつて自分たちを地獄へ突き落とした人間たちは、結婚し、子供を持ち、仕事を持ち、何事もなかったかのように幸せな人生を送っていた。
「どうして、あいつらだけが幸せなんだ」
止まっていた蓮の時間が、再び動き始める。
かつての同級生。
見て見ぬふりをした教師。
事件を隠そうとした大人たち。
十五年間胸の奥に溜め続けた憎しみを抱え、蓮は一人ずつ過去と向き合っていく。
しかし、真相を追うほど明らかになるのは、蓮の知らなかった事実だった。
妹が隠していた嘘。
母が受け取った三百万円。
加害者たちが抱えていた十五年間。
そして、蓮自身が忘れていた「あの日」の記憶。
誰が加害者で、誰が被害者なのか。
復讐すれば、本当に救われるのか。
正義のつもりで踏み出した一歩は、やがて蓮自身を、かつて最も憎んだ人間と同じ場所へと連れていく――。
これは、復讐によって救われる物語ではない。
十五年間「あの日」に取り残された一人の男が、
憎しみの果てに、自分が本当に欲しかったものを知るまでの物語。
「俺は、あいつらを殺したかったんじゃない。
あの日、誰かに助けてほしかっただけだった。」