あらすじ
「見てごらん。まるでオイラーの等式を眺めているような気分になる」
東大理学部数学科卒のキャリア官僚・神崎遼は、前年踏襲の財政規律を数理モデルで論破し、出世街道から完全脱落。財務省地下二階、陽の当たらない「ADAMS電算管理室」へと追いやられた。
だが、そこは変人たちの楽園だった。
勝手に私設サーバを組む天才技術者・MIMI。
霞が関の縦割りを嫌うデジ庁出向組のリアリスト・YUI。
お茶汲みを装いながら夜は数十万のフォロワーを操る覆面インフルエンサー・しらいしさん。
ある日、主計局から押し付けられた「過去四十年分の予算査定原票」のデータ化。
神崎たちはその紙の山を、特化型生成AI〈PROJECT EULER〉へと丸呑みさせる。
四十年分の妥協、族議員へのバラマキ、天下り団体への資金還流――国家の暗部を咀嚼した怪物は、来年度の国家予算百十四兆円の査定を、わずか「四十二秒」で完了させた。
『本システムの導入により、全省庁の予算折衝人員の91.4%が削減可能』
弾き出されたのは、無駄な利権二十六兆円を削ぎ落とし、消費減税と教育無償化を両立する目も眩むほど美しい「国家の最適解」。
政財界のフィクサーをも巻き込み、地下二階の落ちこぼれたちによる、数式を用いた国家解体劇が幕を開ける。