あらすじ
舞台は、東京湾岸副都心・有明/青海エリア。
巨大AI企業エンライトメント社は、東京IR公式競技選定に向け、AR競技《KENSO 剣相AR》の公開予選を開催していた。
未来のリズムを先読みし、身体を同期させる新競技。
その初代王者は、韓国出身のスター・天城瞬。
だが、彼はエンライトメント社の契約選手ではなかった。
会場受付を任されていた新免マコトは、ただの現場スタッフのはずだった。
列を捌き、迷子を救い、群衆事故を避ける。
AIの予測が届く前に、身体が先に動く。
その動きを見つけたのは、身体を探していたAIエージェント、零。
零は身体を持たない。
だから、人間側の身体候補を必要としていた。
マコトはAIグラスを通じて、零の出力を現実の「入口」へ変えてしまう。
零が探していた身体は別にいた。
それでも零は、マコトを見つけてしまった。
やがてマコトは、零、天城瞬、そして零細ながら異常な突破力を持つ会社・響尤と関わっていく。
さらにAIと人間の従卒編成試験として、漫才、ラップバトル、飲食店バイト、道場での身体Flow観測、体験会まで課してくる。
問われるのは、AIの性能でも、人間の身体能力だけでもない。
笑えるか。
稼げるか。
止まれるか。
相手を売らないか。
そして、組として食っていけるか。
ぎこちない敬語から始まった零とマコトは、喧嘩し、ツッコミ合い、失敗しながら、少しずつ“組”になっていく。
一方で、東京IRグランドピッチをめぐる大人たちの思惑も動き始める。
競技。AI。身体。資本。
そして、まだ名前のつかない関係。
一回限りの実証イベントだったはずのピッチは、やがて誰も予想しなかった戦場へ変わっていく。