あらすじ
煙の上がる焦土の丘の上で、俺は冷たくなっていく祖父を抱きしめていた。
かつて平和だった村を無残に焼き尽くしたのは、世界が「希望」と仰ぐはずの存在——勇者だった。
過酷な現実を前にし、血と涙に汚れた祖父は最後に小さなペンダントを俺に託す。
そこに込められていたのは、壮大な運命などではなく、「何があっても、お前らしく生きてほしい」という一人の身内としての切なる願いだった。
すべてを奪われた焦土の中で、俺の胸に芽生えたのは強い拒絶と憎悪。
——勇者なんて、いらない。
祖父の最後の言葉と、手の中で静かに輝く水色の光だけを胸に、俺は足を踏み出す。
向かうは都市エデン、そしてそこに眠る魔導書店。
世界から希望が消えた暗闇の中で、俺の本当の物語が始まる。