あらすじ
時は元禄、江戸時代。霊岸島の外れは潮長屋に住む天下御免の素浪人、松田深三郎(まつだしんざぶろう)こそは、何を隠そうお家断絶の憂き目にあった沼津松平家の忘れ形見、松平冴眼二郎(まつだいらさめじろう)であった。冴眼二郎はその生まれ、血筋を活かした鮫太郎侍(さめたろうざむらい)となって、公儀も罰せぬ江戸の闇を扠悪(しゃあく)して行くのである。
若い女を中心に神隠しの噂が立つ江戸の街。深三郎は旧知の娘お浜から、友人の八重が行方知れずとなった相談を受ける。軽くいなす深三郎であったが、その実既に公儀隠密戸田衆(へだしゅう)の者とも連携して、薩摩藩浜屋敷の内偵を続けていたのであった。
そうとは知らず一人浜屋敷に辿り着いたお浜は、却って悪党の手に囚われてしまう。お浜が屋敷に潜む怪物の生け贄に供されんとするとき、囚われていた一人の女が犠牲を買って出る。その女こそ戸田忍者油壷のお鱗であった。お鱗は浜屋敷の主の正体を知るや窮地を脱し、娘たちを救出するとともに後始末を深三郎に委ねた。
深三郎、いや冴眼二郎は鮫太郎侍の名乗りを上げ、悪を誅する。そして遂にその姿を現す、浜屋敷に棲む恐怖の怪物。鮫太郎侍は全力をもってこれと戦い、討ち倒すのであった。
こうして今日もまた悪事がひとつ滅びた。ああ、鮫太郎侍。天っ晴れ、鮫太郎侍。
この作品は「日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト2026」の共通文章から創作したものです。カクヨム掲載にあたって改稿を行っています
https://www.pixiv.net/novel/contest/sanacon2026