あらすじ

王都ルメリアの職人街で工房を営むクララは、石工、草編み、水系魔法――どれも一流の専門家には及ばない代わりに、異なる技術の境目にある困り事を解くのが得意な職人だ。 ある日、運送人ムアンが修理に持ち込んだのは、古い家に伝わる小さな石の飾り皿。水と魔力に触れた瞬間、灰白色の石は透け、その内部に青白い線が浮かび上がる。同じ頃、王都の公共噴水では水が白く濁り、流量まで落ち始めていた。 飾り皿の線と、噴水を飾る石の壺に残る線刻。二つの一致に気づいたクララは、水務局監察官アンドレアス、交渉人セバスチャン、山地と王都を往復するムアンとともに原因を追う。 古い壺の内部に隠された透晶石の芯、近年の改修品から消えた部材、使い回された証明番号、そして水の状態で色を変える山葦のコースター。地道な比較と記録を重ねるうち、石皿の線が地下水路の保守手順を示すものだと分かっていく。 やがて、王都の水路は決められた順序で同期させなければならず、一基だけを強く起動すれば逆流する危険まであることが判明する。しかも、本物の透晶石なら何でも使えるわけではない。石には採掘層ごとの個体差があり、異なる職人たちの知識を正しく組み合わせなければ復旧できない。 一つの技を極めた者ではなく、違う専門家の長所を見つけ、正しい場所でつなぐ者だからこそできる仕事がある。 王都の水が止まるまで、残された時間は二日。クララは仲間たちの力を組み合わせ、忘れられた水路をもう一度動かすため、最後の再同期に挑む。 職人の知恵と記録、魔法と人の協力で王都の生活基盤を救う、異世界お仕事ファンタジー。

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小説を読もう2026/09/17
  • 現在の作品透晶石器師クララ