あらすじ
十年前、日本に降った謎の粒子《白い雨》が文明を沈黙させた。都市は森に飲まれ、電波は消え、海は灰色に濁った。
十七歳の天城ユウトは、無人の町で物資を漁りながら「世界はもう終わった」と思い込み、ただ生き延びるだけの日々を送っていた。
そんな彼の前に、カメラを首から下げた少女・七瀬ミナが現れる。
「私、青い海を探してるの。まだ世界が終わってない証拠を見に行きたい」
馬鹿げていると思いながらも、ユウトはミナに引きずられるように廃車置き場の古いキャンピングカーを修理し、旅に出ることになる。
無人の高速道路、草に沈んだ街、廃遊園地。旅の途中で機械いじりが得意なリク、医療知識を持つアオイ、柴犬のハチが加わり、血のつながらない“家族”が生まれていく。
それぞれが抱える喪失と向き合いながら、彼らは《白い雨》が単なる災害ではなかった可能性、そして青い海に隠された秘密に近づいていく。
たどり着いた海は、噂とは違う灰色の海だった。絶望しかけた彼らだが、そこにわずかな浄化の兆しを見つける。
嵐を越え、朝日の中で灰色の海が少しずつ青く輝き始めたとき、ユウトは悟る。世界が終わったかどうかではなく、自分たちが明日を選べるかどうかが大切なのだと。
旅の目的は「青い海を探すこと」から「まだ残っている世界を見に行くこと」へと変わっていく。