あらすじ

空の暗さは数字にできる。けれど、人を好きになるまでの距離は測れない。 光害と夜空の明るさを研究する大学院生・百瀬遥は、長野県の野辺山でレンタカーを損傷し、旅の途中で立ち往生してしまう。そんな彼女の前に現れたのは、古いレガシィ・ツーリングワゴンを運転する宮坂冬子だった。 その車は、若くして亡くなった父が冬子へ遺したもの。車内に残されていた道路地図には、父が星を見た場所と、行けなかった場所が青い線で結ばれていた。 遥の調査地点と、冬子が目指す場所は奇妙なほど重なっている。臼田、美ヶ原、乗鞍、飛騨、神岡、木曽、そして阿智。二人は一台の車に観測機材と父の地図を積み、七泊八日の旅へ出る。 霧で測れない夜。雨で何も見えない山。過去の光を観測する天文台。そして、旅の終わりを待たずに壊れ始める父の車。 すべてを正確な言葉にしようとする遥と、冗談の裏に喪失を隠す冬子。助手席で交わされる言葉と沈黙のなかで、二人の旅はいつしか、父の足跡をたどるものでも、研究のためだけのものでもなくなっていく。 見えるものと見えないもの。記録できるものと、どこにも残せない気持ち。 星のない国道を走りながら、二人が自分たちの行き先を選び直す、静かな天文ロードノベル。

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小説を読もう2026/09/17
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