あらすじ
「裏切り者、灰狼を捕らえよ!」
王城の大広間に響く断罪の声。狼の仮面をつけた近衛騎士・灰狼——アレンは、王女ソフィアを敵国に売り渡した反逆者として、貴族たちの罵声を浴びていた。かつての同僚も、師である近衛隊長さえも、彼から目を逸らす。
だが、彼は弁明しなかった。ただ静かに縄を受ける。
——なぜなら、この「裏切り」こそが、彼自身の仕組んだ罠だったのだから。
前世は現代日本のシステムエンジニア。炎上プロジェクトの火消し役として使い潰され、報われぬまま息絶えた男。異世界に転生した彼が得たギフトは【真意看破】——相手の本心を色で視る力。
ある夜、王太子ユリウスの言葉に、アレンは純度の高い悪意の「漆黒」を視てしまう。それは、実の妹である王女ソフィアを暗殺し、その罪を誰かに被せる計画の証だった。
証拠はない。訴えても握り潰される。ならば——自ら裏切り者を演じ、敵の懐に飛び込む。忠誠を隠し、全世界から罵倒されようとも、この国と王女を守るために。
そして、月のない夜。人払いされた小部屋で待っていた王女ソフィアの瞳には、混じり気のない「金色」——純粋な信頼の色が灯っていた。彼女は、すべてを知っていた。
冷徹な策士でありながら、隠された忠誠を貫く仮面の騎士。氷の淑女と噂されながら、たった一人の騎士を信じ抜く王女。
断罪劇の裏に張り巡らされた壮大な罠が、今、暴かれる。
これは、忠誠を隠して国を救う、転生騎士の物語。