あらすじ
この年、オリンピックにパルクール競技が追加された。
パルクール二種目金メダル、十七歳。
煌崎陽凛《きらめきひより》が召喚された世界は、重力が地球の五分の一だった。
魔法は使えない。剣も知らない。
あるのは鍛え上げた体と、地球で学んだ物理だけ。
それだけで、彼女はこの世界の規格を壊した。
――魔法も剣も知らない少女が、この世界で唯一、風を纏った。
跳べば城壁を越える。走れば馬を置き去りにする。
望まぬまま、彼女は「勇者」になった。
仲間ができた。守りたいものが増えた。
この世界のために戦うと、決めた。
――その果てに待っていたのは、公開処刑台だった。
王子殺しの濡れ衣。届かない無実の訴え。
最強の身体を持ちながら、彼女は、何ひとつ守れなかった。
これは、勝ち続ける物語ではありません。
力の届かない場所で、それでも走り続ける少女の物語です。