あらすじ
レベルがすべてを決める世界で、レイ・クロウに与えられた数字は「0」だった。
神に見放された不吉な存在――〈ゼロ持ち〉として迫害されてきたレイは、城塞都市を襲う魔物を鎮めるための生贄に選ばれる。
しかし、その儀式は最初から仕組まれていた。
唯一の家族である少女ミアに「帰ってきて」と託され、レイは生きたまま奈落へ落とされる。
死体と魔物がひしめく暗闇の底で目覚めたのは、倒した敵の魂から技能を奪う力――《忘却喰らい》。
ただし、力を得るたびに、レイは大切な記憶を失っていく。
故郷のパンの味。
薪を握った手の感触。
いつかは、大切な人の声さえも。
それでもレイは、地上へ帰るため奈落の奥へ進む。
自分を生贄にした者たちの真意と、神々が作ったレベル制度の秘密を暴くために。
これは、強くなるほど自分を失っていく青年が、すべてを忘れてもなお「人間」であろうとする物語。
――たとえ君を忘れても、俺は必ず帰る。