あらすじ

カクヨム連載中の本編『異能市長』から五百年――。 かつて名市長・松野猛が描いた「人間のさもしさにまで配慮する」というグランドデザインの、その最果てを描くスピンオフ短編。 西暦2526年。 地球の全球海洋惑星化が進んだ未来、人類は一切の微振動すら相殺された、頑なに揺れない洋上都市「アンカーレス・セル」にしがみついて生きていた。 58歳の片山八雲は、労働の限界を迎え、過酷な洋上社会での居場所を失った男。 彼は最後の任務として、水没を免れたかつての故郷「会津・猪苗代」の3日間の現地調査へ赴く。同行する「私」に対し、八雲は完璧な都市の住環境よりも、風にさらされる不条理な陸地に惹かれる「人間の身勝手さ」を自嘲気味に語りだす。 やがて調査が終わり、都会への帰還を拒む八雲に対し、「私」はある残酷で、けれど完璧に人道的な社会の秘密を告げる。 それは、かつて「アンカーレス・セル網の父」と呼ばれた松野猛の思想を受け継ぐ、現場の専門家たちが何年もかけて辿り着いた、究極の尊厳維持プログラムだった。 過酷な運命の果てに、なぜ男は爽やかに笑えたのか。都会へ還る二時間の余白のなかで綴られる、美しくも切ないSF人間ドラマ。 物語のラスト、すべての対話の意味が裏返る。

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カクヨム
カクヨム2026/09/17
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