あらすじ
人は死ぬと、七日間だけこの世界に残る。
現れるのは、生前もっとも「帰りたかった場所」。
死者は誰にでも見え、話すこともできる。
けれど、物にも人にも触れられず、その場所から遠く離れることもできない。
そんな死者たちの「帰る場所」を探し出し、家族を連れていく仕事――《送り屋》。
送り屋として働く青年は、これまで二百七十三人の死者を見つけてきた。
古い家。
学校。
なくなった店。
誰かと過ごした、もう形すら残っていない場所。
帰る場所には、その人が生きた理由が残っている。
けれど彼には、たった一人だけ見つけられなかった死者がいる。
十年前に死んだ、十二歳の妹。
家族全員で七日間探し続けても、妹だけはどこにもいなかった。
そして世界には、ごく稀に同じような死者が存在する。
誰にも帰る場所を見つけてもらえない死者――《未帰還者》。
妹は、あの七日間をどこで過ごしていたのか。
誰かに見つけてもらえたのか。
それとも、一人で家族を待っていたのか。
死者と残された人たちの「最後の七日間」を見届けながら、
青年は今も、十年前に見つけられなかった妹の帰る場所を探している。