あらすじ
治癒術師レオンには、S級冒険者を目指す四人の仲間がいた。
A級昇格を目前にした任務で、五人は依頼書にない未知の怪物を討ち果たす。
だが、その帰路。
魔王軍が街を襲った。
住民を逃がすため、殿に残った五人は、全員が致命傷を負う。
死を待つしかないレオンに残された、生存の可能性は一つだけ、討伐した怪物の核を取り込み、死にゆく仲間たちの身体を喰らうこと。
四人の最期の言葉は、ただ一つ。
――生きろ。
レオンは、仲間を喰らった。
そうして生き延びた治癒術師は、壊れた身体を魔物の力で補いながら、魔王を討つようになる。
そして、魔王の肉体すら取り込む。
人を救うたび、レオンは人間から遠ざかっていく。
腕を失えば、魔物の腕を。
心臓を失えば、魔王の心臓を。
救った命の数だけ、彼の中から人間らしさが消えていく。
それでもレオンは、誰も帰ってこない地獄へ降りていく。
まだ、救える人間がいるから。
やがて人々は、魔王よりも魔王らしい姿で生存者を連れ帰る彼を、こう呼ぶようになる。
《聖者》
仲間を喰らって生き残った治癒術師が、人を救うほど怪物になっていく。
禁忌から始まる、ダークファンタジー。