あらすじ
「君との婚約を解消したい」
婚姻調停官として五年間、何度も聞いてきた言葉を、まさか自分の婚約者から聞くことになるとは思わなかった。
しかも相談相手は、この私。
仕方なく事情を聞いてみるものの、どうにもおかしい。
浮気でもない。
私を嫌いになったわけでもない。
それどころか彼は、今でも私と結婚したいと言う。
なら、なぜ婚約を終わらせたいのか。
その理由を聞いた時、私は九年間続いた婚約を一度終わらせることを決めた。
他人の婚約なら何度も調停してきた。
けれど、自分たちのことだけは、何も話し合えていなかった。