あらすじ

勇者が死んだ。 それは、この世界では珍しいことではない。 魔王討伐に失敗した者。 ダンジョンから帰ってこなかった者。 名もなき村を守って命を落とした者。 ――そして、誰にも見つけてもらえなかった者。 そんな冒険者たちの遺体を回収し、家族のもとへ届ける仕事。 それが、俺――レインの仕事だった。 勇者になる気もなければ、魔王を倒す気もない。 剣の腕も三流。 魔法は使えない。 ただ、死んだ人間を見つけることだけは得意だった。 ある日、俺は「五十年前に死亡した伝説の勇者」の遺体回収を依頼される。 そんな人間が今さら見つかるはずがない。 そう思っていた。 だが、指定された古い地下迷宮の最深部で、俺は本当にその勇者を発見してしまった。 白骨化した身体。 錆びた鎧。 朽ちた聖剣。 そして―― 「遅かったな」 死んでいるはずの勇者が、俺に話しかけてきた。 「……」 「おい。聞こえてるだろ」 「聞こえてます」 「なら早く起こしてくれ」 「いや、死体が喋るなよ」 五十年前に死んだ勇者は、なぜか成仏していなかった。 しかも彼は、自分がなぜ死んだのかを覚えていないという。 さらに奇妙なことに、勇者の遺体を調べれば調べるほど、五十年前の「魔王討伐」に関する記録と矛盾が見つかっていく。 勇者は本当に魔王と戦ったのか。 なぜ遺体は五十年間、誰にも発見されなかったのか。 そして―― なぜ歴代の勇者たちは、全員同じ場所で死んでいるのか。 これは、世界を救う勇者の物語ではない。 勇者が死んだあと、その死体を拾う男の物語だ。

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小説を読もう2026/09/17
  • 現在の作品勇者の遺体を回収する仕事