あらすじ
高校時代、僕には好きな女の子がいた。
彼女の名前は、みさき。
ただ好きだった。
ただ一緒にいたかった。
それだけだった。
しかし、みさきには彼女を「守る」と称する八人の男子――通称「親衛隊」がいた。
その中心にいたのが、たかしだった。
たかしは、みさきに好意を寄せていた。
だが、みさきが僕を好きになったことで、彼の感情は少しずつ歪んでいった。
「みさきを傷つける男から、俺たちが守る」
その言葉を信じた七人の仲間たちは、たかしの言葉を疑わなかった。
僕がみさきを傷つけた。
僕が彼女を苦しめている。
僕から、みさきを守らなければならない。
そう信じ込んだ彼らは、僕を孤立させていく。
けれど――。
その「正義」の裏側には、たかしの悪意と嘘が隠されていた。
そして、みさき自身もまた、自分の気持ちを確かめることができないまま、周囲の言葉に流されていく。
初恋は壊れた。
僕は故郷を離れた。
みさきもまた、別の人生を選んだ。
それから十二年。
大人になった僕たちは、もう一度出会う。
過去の真実が明らかになるにつれて、八人の親衛隊もまた、自分たちが「正義」だと思っていた行動が、誰かの人生を壊したことを知っていく。
悪意を持っていた者。
正義感に酔っていた者。
何も考えずに加担した者。
見て見ぬふりをした者。
それぞれが、自分自身の罪と向き合うことになる。
そして僕たちは、それぞれ別の未来へ進んでいく。
これは、初恋を奪われた男の物語であり――。
誰かを「好き」という感情が、いつしか「支配」に変わってしまった人々の物語。
そして。
過去に人生を壊された人間が、それでも自分自身の人生を取り戻していく物語である。