あらすじ
異世界に転移した結城健人が街で見つけたのは、本はあるのに、気軽に夢中になれる娯楽小説がほとんどない世界だった。
歴史書や神話は並んでいる。けれど、恋のすれ違いに笑い、好きな登場人物を応援し、続きを待ちきれなくなるような物語はない。
そこで健人は、地球では定番だったラブコメをこの世界向けに作り直し、自分で本にして売り出してみる。
最初に手に取ったエルフの受付嬢は、一晩で読破。
そこから口コミが広がり、続きを求める読者が増え、新刊を待つ人々まで現れ始める。
ラブコメに夢中になる受付嬢。
犯人当てに本気になる魔術師。
新刊のために遠方からやって来る読者。
身分を問わず、次々と物語へハマっていく異世界人たち。
健人はスマートフォンやタブレットを使って地球の知識を調べながら、次々と新しい娯楽小説をこの世界へ送り出していく。
本人はただ、面白いものを書いて、その反応を楽しみたいだけ。
ところが一冊のラブコメから始まった流行は、やがて街を越え、この世界になかった「新刊を待つ楽しみ」そのものを広げていく。
異世界人が初めて出会う娯楽小説に、どこまで夢中になってしまうのか。
これは、気ままに本を書き始めた男が、読者の熱狂に押されながら人気作家になっていく物語。