あらすじ

土曜の午後二時。駅前のマックで友人は言った。「お前んち、お父さんエリートだし将来安泰でいいよな」と。 予備校をサボり続ける浪人生の零二(レイジ)は、平然と話を合わせる。「まあね。親父、エリートだからさ」──。 しかし、スマホの画面に届いた家族LINEの通知はこうだ。 『今日、電力会社からエコライフ推奨通知が来たから、夜はキャンドルナイトになるみたい』 それは、電気の強制停止(ただの督促状)を意味していた。 1年前にリストラされたことを隠して毎日公園に通う父。ヤミ金一歩手前の借金を抱える母。クローゼットに万引きの戦利品を並べる妹。そして、すべてを知りながら定点観測を続ける零二。 この家族には、素直な「ごめん」も「助けて」も存在しない。あるのは、凄絶な現実を「感謝の皮肉」でコーティングし、互いの地雷を踏み抜かないよう探り合う高度な嫌味のラリーだけ。 ろうそくの炎に照らされる高級寿司、暴かれる大嘘、そして訪れる大破綻。外のぬるい常識が通用しない暗闇の食卓で、歪みきった4人が行き着く「新たな言語」とは──。 絶望の先を冷徹かつ軽快に描く、ソリッドな現代家族ドラマ。 【作者より】 普段の私の作風(SFやディストピア)とは少し毛色が異なり、現代の地続きの日本を舞台にした「家族の会話劇」を思いつきで試し書きしてみました。 嘘をついて騙し合う家族というよりは、「嫌味と皮肉だけで会話を成立させたらどんな家族になるのかな」という思い付きが原点です。 試し書きでのスタートですので、ちょっと言葉が読みにくいなと思われることもあるかもしれませんがご容赦ください。 胃が捩れるような冷たい現実を、言葉のコーティングだけで優雅に生き抜こうとする4人のラリーを楽しんでいただければ幸いです。感想などいただけますと、今後の執筆の励みになります。

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エブリスタ
エブリスタ2026/09/12
  • 現在の作品キャンドルナイト・エリート ──無職の父と、多重債務の母と、万引きの妹と、サボりの僕──