あらすじ
夏の終わり、青年・悠真は、幼い頃からずっと一緒だった少女・陽菜と最後の夏を過ごしていた。
病を抱える陽菜は、自分の死が近いことを知っている。それでも悲しそうな顔を見せまいと、悠真の前ではいつも笑っていた。
「もし生まれ変わったら、また同じ場所で会えるかな」
そう尋ねる陽菜に、悠真は約束する。
「絶対に見つける。今度も俺が照らしてやるよ」
やがて陽菜はこの世を去る。
それから十数年。大人になった悠真は、忘れられない夏の記憶を抱えたまま故郷へ戻る。そこで彼は、陽菜によく似た一人の少女と出会う。
彼女は陽菜ではない。
けれど、陽菜しか知らないはずの場所や仕草、言葉をなぜか知っていた。
「私が、その人の生まれ変わりだったら……嫌?」
その問いをきっかけに、悠真は「もう一度陽菜に会いたい」という自分の願いと向き合うことになる。
失った人を取り戻すのか。
それとも、その人と過ごした時間を胸に抱えたまま、これからの人生を歩いていくのか。
夏の記憶を辿る中で、悠真はようやく気づく。
陽菜との出会いが自分の人生に意味を与えたのなら、その意味は陽菜がいなくなったことで消えるものではない。
愛した人から受け取った光を、今度は自分が誰かへ渡していく。
そして悠真は、あの日の約束を胸に、もう一度自分の人生を歩き始める。
――君が枯れないように照らしたかった。
けれど本当は、君がくれた光で、僕自身もここまで歩いてこられたのだ。