あらすじ
死後の窓口で告げられた。
出生は選べない。平民として生まれ直せ。
神に人生を預けるのが嫌で、使える点を十点だけ残した。
十五歳で前世を思い出した少年・照衡は、旅商隊の下働きとして街道を歩く。
南の宿場で、安すぎる熱冷ましを見た。
色が揃いすぎている。匂いが違う。粒が混ざっている。
見抜けた。
だが、十五歳の口では誰も動かない。
熱を出した宿の子供が、その粉を飲む。
熱は下がった。脈は壊れた。
分からない手当てはしない。本物の医者を呼べ——そう言った先に、本物はいなかった。
現れたのは、武林で恐れられる若き女医。二つ名は紫電毒手。
子供の脈は数える。踏み込んだ護衛は、袖を払っただけで倒れる。
「手が要る。おぬしの手は使える」
拾われた小僧は、治す技術と壊す技術を同時に仕込まれていく。
門規を破れば罰は毒。雷は三年光らない。
残した十点は、雨も病も人の心も、好きには曲げてくれない。
撃てば、結果は自分が背負う。
神のせいにはできない。
天命を嫌う弟子と、毒で教える若い掌門の江湖。
残弾をいつ撃つか、迷いながら歩く。