あらすじ
世界規模の災害によって突如として文明が崩壊したポストアポカリプス世界。
電力網やインターネット、鉄道は停止し、都市には植物が侵食、政府機能も失われて人々は各地の小さな集落で細々と暮らしています。しかし、日本列島そのものは失われることなく残り、東京も京都も、富士山も沖縄も、かつての美しい風景はそのままそこに存在していました――ただし、かつてそこにあふれていた「観光客」の姿を除いて。
主人公・天城 遥(あまぎ はるか)は、文明崩壊前に祖父からもらった一冊の古い日本観光ガイドを手にした普通の青年。
「一生に一度は訪れたい日本の名所」が載ったその本を見て、「……これ、全部見てみたいな」という純粋な思いから、周囲の反対を押し切って日本縦断の旅へと踏み出します。
最初はただ「名所を自分の目で見る」ことだけが目的だった旅。
しかし、宗谷岬から始まった過酷な道のりで遥が目にしたのは、美しくも無人と化した景色と、その中で懸命に生きる人々の姿でした。
出会う人々との物資交換、生活を守るための戦い、そして過酷な自然や過去の記憶との対話を通じて、遥の旅は単なる「観光」から、「滅びゆく日本で生きた人間たちの証と記憶を拾い集める旅」へと変化していきます。