あらすじ
「無能な時計技師など、この城に不要だ!」
前世で機械時計工房を営んでいた宮廷時計技師リゼル・アシュフォード。彼女は国宝『滅びを告げる懐中時計』の異変――魔力枯渇による滅びのカウントダウンを訴えるも、王太子アルヴィスと偽聖女ミレイユに一蹴され、辺境へと追放されてしまう。
だが、誰も気づいていなかった。この懐中時計こそが国の魔力循環を制御する『心臓』であることに。そして、あと三ヶ月で針が止まることに。
「……この国の『心臓』を、丸ごとね」
偽聖女の横流しによって狂わされた滅びの時計を抱え、リゼルが向かった先は、魔物の氾濫で滅びかけた辺境。そこで待っていたのは、冷酷と噂されながらも――工具にまみれて三角座りで魔導ランプと格闘する、不器用な竜人の辺境伯セイルだった。
捨てられた技師と、捨てられた土地。同じ「ものづくり」の魂を持つ二人が出会う時、止まりかけた刻が再び動き出す。
王都に迫る自業自得の滅び。そして辺境に隠された新たな謎――『次の滅びは、北より来る』。
「喜んで受けて立ちますわ。この国の刻を守るためなら。――さあ、刻を巻き直しましょう」
貴方たちが捨てた「終わりの刻」、私が巻き直してみせますわ。冷静沈着な追放令嬢による、痛快・辺境再生ファンタジー、開幕。