あらすじ

高瀬拓海には、どうしても誰にも会わせようとしない彼女がいた。 半信半疑だった俺に、「会ったことがある」と言ったのは、恋人の水野莉奈だった。 「本当にきれいな人だよ。悠人は会わないほうがいいかも。会ったあとで、やっぱり私よりあっちがいいとか言われたら嫌だし」 冗談交じりの嫉妬だと思って、それ以上は聞かなかった。 それからしばらくして、拓海がまたその彼女と喧嘩をしたらしく、居酒屋で潰れるまで酒を飲んだ。 莉奈は相手に連絡してみると言い、俺は拓海のそばに残った。少し前まで使っていたせいか、拓海のスマートフォンはまだ画面が点いたままだった。 LINEのトーク一覧を見ると、そのいちばん上にピン留めされていた相手の名前は『彼女』。 そのままLINE通話をかけた。 応答はなかったが、すぐに「今から行く」とメッセージが返ってきた。 どうしても顔が見てみたくなった俺は、テーブルに突っ伏し、そのまま寝たふりをした。 しばらくして、個室の扉が開いた。 入ってきたのは莉奈だった。 彼女は迷うことなく拓海のところへ行くと、屈み込んで頬に手を触れた。 「何でこんなに飲んだの?」 拓海は顔を上げ、そのまま莉奈の唇にキスをした。 それから、俺のほうをちらりと見る。 「先に悠人を帰そう。起きて見られたら面倒だし」 テーブルに伏せたまま、少しも動けなかった。 指先がすっと冷たくなる。 拓海がずっと隠していた彼女は、今、目の前で彼の隣に立っていた。

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小説を読もう2026/09/16
  • 現在の作品親友の「謎の彼女」が姿を見せない理由――その正体は、俺の彼女だった