あらすじ
黒田律は、人間が嫌いだ。
中学三年間いじめられ、高校一年でも友達はゼロ。人の視線、仕草、口癖、嘘、弱点――すべてを観察し、何十冊もの黒い大学ノートに書き続けてきた。
友達なんていらない。先に傷つけられるくらいなら、言葉で叩き潰せばいい。
そんな黒田の隣の席に、最悪にうるさい男がやってくる。
「お前、ラップやれよ」
石井亮。MCネーム、TRE。
「興味ない」
「いや興味持てよ」
ビートには乗れない。韻も踏めない。
なのに、相手の弱点だけは一瞬で見抜く。
人間嫌いの観察魔と、陽キャの高校生ラッパー。
絶対に友達になりそうもない二人が、ラップでつながっていく。
やがて黒田は、夏のMCバトルへ。
武器は、何年も書き続けてきた黒いノートと、人を傷つけるために磨いてきた言葉。
――秒で心を折ってやる。
これは、人の心を折る言葉しか知らなかった少年が、人の心に届く言葉を知るまでの物語