あらすじ
「さあ、行こうか」
封印の箱から強いエネルギーが爆発するように激しく吹き出している。憎悪や悪意、人間の強い負の感情を撒き散らして、今、魔王が復活する。
その強風に、はためく黒いマントと揺れる片袖。ひとつに括られた艶やかな黒髪をたなびかせ、一つしかない赤い瞳を細めた彼が、私に向かって手を差しのべた。
今こそ。今まで頑張って来た成果を見せる時だ。大丈夫、怖くない。
だって私には、片眼、片腕を失っても尚揺るがない。
大好きな彼、レオン様がいるのだから。
***
「これ……!! あの、ゲーム!! 『ふたりで見上げる黎明の空』の舞台……!!」
シルバーベル学園に足を踏み入れ、前世の記憶を思い出した私は、大好きな推しを守るために動き出した。
私はモブの悪役令嬢なので、間違ってもレオン様とどうにかなるつもりはない。
しかし、ヒロインがレオン様ルートに行ってしまったら、レオン様は左眼と左腕を失ってしまう。
それなら私は、ヒロインがレオン様ルートに行かないよう、全力を持って邪魔しよう。
悪役令嬢役の私がヒロインを虐めたら、レオン様との恋が盛り上がってしまうかもしれない。それなら。
レオン様がヒロインと対峙したタイミングで、レオン様本人に嫌がらせをして、気を逸らすしかない。
私はモブの悪役令嬢なので、間違ってもレオン様とどうにかなるつもりはないし、自分の立場はわきまえている。
一番大事なのは、レオン様に嫌われても。レオン様の眼と腕を、全力でお守りする事だ!