あらすじ
弟の樹が心不全で急死した。
2歳下の弟とはここ数年連絡すら取っておらず、ママンから訃報を聞いても、頭に浮かんだのは「明日の現場の段取りが面倒くさい」という冷めた感想だけだった。
葬儀の場に現れた弟の嫁・恵美は、悲劇のヒロインを演じながら、生前弟が手に入れたという謎の骨董品『アーティスト』を俺に譲りたいと付きまとってくる。
親族というだけでタダで俺の労力や技術を搾取しようとするこいつらが、昔から心底嫌いだった。
俺は一言、「要らないです」とだけ言い捨ててその場を去った。
――だが三日後、今度はその恵美が自室で謎の突然死を遂げる。
警察に保護された二歳の甥。
パニックになり世間体のために「孫も形見のガラクタも全部引き取る」といい顔をする母親。
放置すれば間違いなく実家は崩壊し、そのすべての後始末と介護のケツ拭きが俺に回ってくる。
「死んでまで俺の日常に足引っ張ってんじゃねぇよ、ボケが」
30歳、電工が、現場仕事の延長線上で事故物件の片付けと怪異の処分に乗り出す。
現実主義者(リアリスト)による、一切の感情論を排したコズミックホラー後始末記。