あらすじ
どこにでもいるような普通の新米社会人・琉原 悠(るはら ゆう)。
普通の大学に入って、普通の会社で普通の職についた彼には、普通ではない「なにか」がある。
一つ、他人に言いふらすことは必ず何らかの形で失敗に終わる。
一つ、約束したことは必ず何らかの形で反故になる。
一つ、オ〇ニーした翌日に、必ずひどい目に遭う。
それは、彼の身に起こる理不尽な呪い。
どう足掻いても逃れられない絶対のルール。
そのせいで周りから「噓つき」だの「疫病神」だのと疎まれてきた彼だが、ようやく手に入れた社会人としての第一歩、記念すべき初出勤の朝——
「え、オレ、財布忘れたんだけど?? 遅刻するんだけど??」
幸いなことに、彼の知り合いはルールのことを知らない。ただ一人(?)を除いては。
「また抜いたんですね。ヘンタイ」
訳あって彼のスマホにインストールされた謎のアプリ『ソラ』。AIらしからぬ感情の豊かさと知能を持つ彼女(?)だけが、このことを知っている。
「いやだからね? それは男として! 大事なもんなんだよっ」
「それはそうと悠さま、他人の目は気にしないのですか? スマホに向かって怒鳴るなど、よっぽどイタい人間に認識されたいんですね」
「ぜったいお前なんかアンインストールしてやるからな!」
「それだと一生ルール縛りで生きていくんですよ? それでいいんですか? ほら、早く知恵を絞りましょう。この調子だとせっかくの職場でも『恋』ができなくなるんですよ?」
そう、誰かと恋をすること。それが、この毒舌AIから告げられた「ルールから逃れる」ための唯一の方法だった。
「今日が初仕事の初日なのに……」
果たして悠は、絶望的なルールの下で恋を成就させ、平穏な日常を手に入れることができるのか。これに関しては、まだ誰も知らないことだ。