あらすじ
去年の夏が、まだ私を捕まえて離さない。
暑くて、苦くて、悲しくて。
私は確かに恋をしていた。
気がつかない恋だった。
そして彼は、もういない。
高校二年の夏。平井ハルが図書館で出会ったのは、
イヤホンから盛大に音漏れさせていた迷惑な男の子――木続アキ。
色白で、すらりとした長身。
顔が整っていて、ちょっと偉そう。
偏差値の高い高校から転校してきたくせに、
体育はサボるし、校外学習にも参加しない。
それでも一部の女子からは、憧れのまなざしを向けられていた。
ハルにとっては、会えば嫌みばかりの、ただのムカつくやつ。
なのに、図書館へ行けばいつもアキがいた。
一緒に宿題をして、くだらないことで言い合って、時々笑って。
いつしかハルは、図書館へ行くたびに彼の姿を探すようになる。
まだ、この夏が忘れられないものになることも。
彼が抱えている秘密も。
ハルは何も知らなかった。
これは、ひとつの図書館から始まった、
平井ハルと木続アキ、二人の夏の物語。