あらすじ
【あらすじ】
地方紙「京西タイムズ」の二年目新米記者・真田早苗は、コンビニ強盗を取り押さえ死亡した高校教師・吉積孝四郎の人物取材を命じられる。
“勇敢な教師の死”として報じられる事件。しかし、取材先の生徒たちは誰一人として吉積の死を悼んでいなかった。
担任生徒、女子バレー部主将、生徒会書記――三人の口からこぼれるのは、英雄視された教師への冷淡な言葉ばかりだった。
違和感を覚えた早苗は録音データを消去し、生徒たちの本音に耳を傾ける。
そして明かされるのは、死んだ教師が隠していた“ある正体”だった。
【世界観】
舞台は、警察・学校・新聞社が狭い人間関係で結びついた地方都市。そこでは“本当のこと”よりも、“波風を立てないこと”が優先される。事件も不祥事も、誰かの都合によって少しずつ形を変え、美談として消費されていく。SNSでは一度の失敗が永遠に残り、高校生たちは「人生は簡単に終わる」と信じ込んでいる。
主人公・真田早苗もまた、父のコネで記者になった後ろめたさを抱え、「真実を暴くことが本当に正義なのか」を疑いながら取材を続けている世界。
【登場人物】
真田早苗(さなだ・さなえ)
24歳。地方紙「京西タイムズ」の新人記者。警察幹部である父・慎太郎のコネで入社した負い目から、社内では逆さ言葉の「ネコ」と呼ばれている。表向きは冷めた態度を取り、世の中の建前や綺麗事を斜に構えて見る性格だが、心の奥では誰よりも「本物の記者になりたい」という思いを抱いている。父の影響力や地方社会に根付いたしがらみの中で、警察、学校、新聞社が互いの都合の悪い部分を隠し合う構造に違和感を覚えている。英雄教師・吉積の人物取材をきっかけに、表向きの美談の裏に隠された真実へ迫っていく。
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真田慎太郎(さなだ・しんたろう)
地元警察署・刑事部のベテラン刑事。早苗の父。
マスコミとの付き合いにも慣れており、記者クラブとのパイプづくりの一環として早苗を新聞社へコネ入社させた。悪人ではないが、「世の中は綺麗事だけでは回らない」という現実主義者。過去には高木校長の過剰防衛問題を揉み消したこともある。
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吉積孝四郎(よしづみ・こうしろう)
27歳。高校教師。女子バレー部顧問・生徒指導担当。コンビニ強盗犯を取り押さえようとして刺殺され、「勇敢な教師」「生徒思いの熱血教師」として世間から称賛される。しかし実際には、生徒たちの重大な問題を知りながら学校や警察へ報告せず、秘密として抱え込んでいた。英雄として死んだ男の裏には、罪悪感、保身、そして自分自身を許すための歪んだ正義が隠されている。
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羽佐間俊也(はざま・しゅんや)
高校三年生。吉積のクラスの生徒。成績優秀で難関私大の推薦を控える優等生。
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結城楓(ゆうき・かえで)
高校三年生。女子バレー部キャプテン。勝利への執着が強く、周囲からは頼れるリーダーとして見られている。
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篠田加奈子(しのだ・かなこ)
高校三年生。生徒会書記。成績優秀で冷静、周囲を観察する力に長けている。
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高木剣乃介(たかぎ・けんのすけ)
高校校長。元剣道部顧問。
かつて校内に侵入した窃盗犯を木刀で叩き伏せ、“やりすぎ”として問題になった過去を持つ。