あらすじ

二百年前、一冊の本が異端として焼かれた。 その名は――『淵睨録』。 「魔法を使えば、世界のどこかに必ず“残り滓”が生じる」 そう考えた一人の学者は、誰も疑問に思わなかった魔導の仕組みを調べ始める。 人々が魔法を使うたびに生じる「澱み」。 それは消えているのではない。 世界の底――闇界へと、数千年にわたって沈み続けている。 ならば、なぜ世界はとっくに澱みに満たされていないのか。 計算が正しいのなら、答えは一つしかなかった。 ――世界の底で、何者かが今もそれを受け止め続けている。 研究を進めた学者は、やがてエルデーンの正典に記された「反逆神」の歴史そのものを疑い始める。 本当に彼は世界を裏切ったのか。 それとも――。 しかし、その研究をまとめた『淵睨録』は異端書として焼却。 著者自身も人里離れた塔へ姿を消し、数年後、底なしの淵を残して消息を絶った。 それから約二百年。 一人の研究者が、彼の暮らした塔から大量の紙片を発見する。 最初の記録は、冷静だった。 仮説を立て、証拠を集め、数字を検証する、ごく普通の学者の文章。 だが年月が進むにつれ、文字は乱れ、文章は崩れ始める。 「影が伸びている」 「底が満ちる」 「門は、どちらを向いている」 狂人の妄想。 そう片付けることは簡単だった。 ただ、一つだけ問題がある。 ――彼の残した記録は、調べれば調べるほど、辻褄が合ってしまう。 これは世界の真実を覗いて狂った男の手記なのか。 それとも。 狂人と呼ばれた男だけが、最後まで正しかったのか。 架空世界エルデーンに残された禁書と、その著者の絶筆断片を編纂した記録。 「エルデーン世界記録集」禁書・異端文献編。

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小説を読もう2026/09/16
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