あらすじ
勇者・天城仁が魔王を討ち取った日から、七日後。皇国は彼を処刑台に立たせた。
罪状は「魔王の穢れに侵された反逆者」。証言台に立ったのは、共に戦った仲間だった。
――それから十五年。
仁が目を覚ましたのは、崩れかけた玉座の上だった。折れた角。人のものではない心臓。目の前にいたのは、人間社会から「無紋」「凶紋」と判じられ、捨てられた三十二人だけ。
土地は枯れ、水は出ない。食糧は十八日分。
そして百日後、皇国による最後の魔族殲滅作戦が始まる。その作戦の原案を書いたのは、勇者だった頃の仁自身だ。
新たに得た魔王の権能《真銘解放》は、人が隠し持つ本当の才能を見抜き、その封印を破る力。
呪われた娘と蔑まれた少女は、国中に霊脈を巡らせる要となり。
失敗作と罵られた鍛冶師は、混ざるはずのない金属を混ぜ。
臆病者と笑われた獣人は、誰よりも早く死の線を見る。
「人類がお前たちを要らないと言うなら――値段は、俺が決める」
これは、人類を救って殺された男が魔王となり、人類が捨てた者たちと国を築く物語。
そして、自ら捨てた才能に、皇国が少しずつ殺されていく物語である。