あらすじ
レン・カナタ、二十九歳。
王都でも名の知られた鍛冶師にして、冒険者ランクAの一流冒険者。
より良い武器を作るため、自ら迷宮へ潜って素材を集める。
作った武器の性能を確かめるため、自ら強大な魔物と戦う。
そんなことを繰り返すうちに、鍛冶師だった少年は一流の冒険者になっていた。
彼に残された最後の目標はただ一つ。
それは~自分で作った武器と防具だけを使い、たった一人でダンジョンを完全攻略すること。
そのための最高の素材を求めて迷宮深層へ潜ったカナタは、思わぬ崩落によって未発見階層へ落下してしまう。
武器は折れ、予備も尽き、脱出する術もない。
その絶体絶命の状況で、カナタは突如として前世の記憶を取り戻す。
現代日本。
ブラック企業。
マーケティング。
新規事業。
そして~サブスクリプション。
同時に覚醒した固有技能は、
【無限在庫~SUBSCRIPTION】
登録した武具を異空間へ保管し、必要な場所へ瞬時に転送、そして回収できる規格外の能力だった。
剣が折れれば、新しい剣を。
硬い敵には戦斧を。
空を飛ぶ敵には弓を。
必要な武器を、必要な時に、必要なだけ。
一流の冒険者であり、一流の鍛冶師でもあるカナタにとって、それは究極ともいえる能力だった。
だが、前世で商売をしていた彼は、もう一つの可能性に気づいてしまう。
「これ……もし他人にも送れるなら、武器を売る必要なくないか?」
高価な武器を買えず、粗悪な装備で命を落とす新人冒険者たち。
ならば~自分が貸せばいい。
破損したら交換
敵に合わせて装備変更
修理費込み
料金は月額定額
こうして始まったのは、この世界に存在しなかった
「武装サブスクリプション」
最初は、たった一人の新人冒険者へ貸した一本の剣だった。
しかし、その一本が冒険者の常識を変える。
やがて鍛冶師を、商人を、鉱山を、交易を動かし
ついには国家と戦争の在り方さえも変えていく。
後世の軍事史家は、大陸の歴史をこう分けたという。
レン・カナタ以前
そして、
レン・カナタ以後
これは、一人の冒険者兼鍛冶師が始めた小さな商売が、やがて世界の武装そのものを塗り替えていく物語。
装備は、売らない、月額で貸す